
保護者やコーチの方なら、お子さんの競技人生の中で意外な現象に気づいたことがあるかもしれません。ある日はフォームが完璧で、動きは滑らかで、自信にあふれている。ところが次の日には、すべてが狂ったように感じられます。ショットはコートを外れ、タイミングはぎこちなく、イライラが募っていく。何が変わったのでしょうか。多くの場合、その原因はすべての若い選手が経験するもの、つまり成長期の急な伸びです。
成長期は技術の発達に大きな影響を与え、動き、協調性、安定性を一時的に乱すことがあります。こうした課題は歯がゆいものですが、まったく正常なことです。コーチライフでは、世界屈指のジュニアコーチたちに集まってもらい、成長期への対処、技術の再構築、そして長期的な成長の維持について、その専門知識を共有していただいています。
成長期がテクニックに与える影響
成長期は身長を変えるだけではありません。コートとの関係そのものを変えてしまいます。わずか0.6センチほどの伸びでも、選手の筋肉の記憶を乱し、それまで確実にできていた動きが違和感のあるものに感じられることがあります。
これが起こる理由は次のとおりです。
・新しい角度:身長が伸びると、ボールを捉える高さや角度が変わり、タイミングが狂うことがあります。
・筋肉の記憶の乱れ:深く染み込んでいた動きが急にぎこちなく感じられ、再調整には時間と反復練習が必要になります。
・協調性のズレ:体が新しいプロポーションに慣れるまで時間がかかり、動きや制御に一時的なアンバランスが生じます。
この時期は、12歳から15歳にかけて急成長する背の高い女子選手にとくに厳しいものです。男子も影響を受けますが、より緩やかに長い期間をかけて成長するため、体が適応する時間は少し多く与えられる傾向があります。
スライ・ブラックの知見:ココ・ガウフとスローン・スティーブンスの成長期
ココ・ガウフ、スローン・スティーブンス、そして12人のジュニア世界ランク1位を指導してきたジュニアコーチのスライ・ブラックは、成長期の影響を間近で見てきました。コーチライフの素晴らしい動画の一つで、彼はガウフとスティーブンスがプレーを築いていく過程で、成長期がどのような影響を与えたかを語っています。
スライによると、成長期の間は技術と安定性が一時的に損なわれ、基本に立ち返る必要があったといいます。二人とも、バスケットフィーディング(かご練習)による集中的な反復練習によって筋肉の記憶を取り戻し、成長する体に適応していったそうです。
興味深いことに、スライは中国のナショナルコーチとして何年も活動し、トップ選手の発掘と育成に携わっていたことも最近わかりました。その成功例の一つが、昨年WTAトップ10入りし、オリンピックで金メダルを獲得した鄭欽文です。スライが世界トップ100入りに導いた中国人選手は5人にのぼります。このキャリアの素晴らしい章については、近日公開予定のブログで詳しくご紹介しますので、ぜひご覧ください。
技術の再構築:バスケットフィーディングへの回帰
成長期によって選手のテクニックが乱れたとき、最も効果的な解決策の一つがバスケットフィーディングに戻ることです。この管理された反復練習によって、若い選手は試合や対人プレーによる余計なプレッシャーを受けずに、基本に集中することができます。
バスケットフィーディングが効果的な理由
・環境がシンプルになり、選手は技術に集中できます。
・反復によって筋肉の記憶が強化されます。
・動きや戦術といった外的要因のプレッシャーがなくなり、自信が育ちます。
コーチライフの注目の専門家の一人であるゲイリー・スティックラーは、バスケットフィーディングの基礎と、効果的な練習メニューの組み方について優れた動画を公開しています。
ゲイリー・スティックラーのバスケットフィーディング動画はこちら
1日わずか30〜60分をバスケットフィーディングに充てるだけで、若い選手はすぐにリズムを取り戻せることが多いです。4〜5日もすると、体が適応し始めるにつれて劇的な改善が見られることも珍しくありません。
成長期を通じてメンタルの強さを育てる
成長期は身体的な発達の試練であるだけでなく、どの優れた選手にも必要な精神的なタフさと回復力を養う好機でもあります。
忍耐と視点
保護者として、この困難な時期を落ち着いて見守り、お子さんを導くことが大切です。テニスに限らずどのスポーツも、楽しむことが基本であるべきです。お子さんがゲームを楽しんでいれば、それは仕事のようには感じられず、上達は自然とついてきます。
ショットをミスすること、試合に負けること、技術が乱れることといった挫折は、旅の一部であり、終わりではありません。これは、お子さんに逆境への向き合い方を教える絶好の機会です。次のことを伝えてあげてください。
・挫折は一時的なもの:成長期はいつまでも続くものではなく、技術は必ず戻ってきます。
・粘り強さが大切:今どのように困難に向き合うかが、将来どんな選手になるかを形づくります。
・楽しさが成功の原動力:競技への愛情に集中し続ければ、努力は楽しいものになり、前進がついてきます。
冷静で理性的な対応が成長につながる
選手にとって、成長期を冷静かつ理性的に乗り越えることは重要な能力です。試合に負けても、技術に苦しんでも、大切なのは落ち着きを保ち、プロセスを信じて、長期的な視点で取り組むことです。
保護者は手本を示すことができます。慌てる必要はないことを、お子さんに態度で伝えてください。前向きで支えになる姿勢を保つことで、お子さんは自信と広い視野を持ってこの時期を乗り越えられるようになります。
成長期がもたらす感情面と心理面への影響
身体面や技術面の課題に加えて、成長期は選手の自信や感情にも負担をかけることがあります。イライラ、自己不信、失った進歩への不安は、よく見られる反応です。
選手と保護者が知っておきたいこと
1. 焦らないこと:これらの挫折は一時的なもので、自然な成長過程の一部であると理解してください。
2. 長期的な視点を持つこと:この時期を、スキルを立て直し磨き直す機会と捉えるよう促してください。
3. プレッシャーを避けること:保護者も選手も、この時期に過度な期待をかけないようにしましょう。
コーチライフのスポーツ心理学者からのサポート
「Mentally Tough Tennis」のアンソニー・ロスは、選手と保護者がこうした感情面の課題を乗り越えられるよう、コーチライフで教材を作成しています。彼の知見は、成長の困難な時期において、視点を保ち、回復力を築くことに焦点を当てています。
成長期のケガのリスク
成長期におけるもう一つの重要な配慮は、ケガの予防です。若い選手が成長すると、骨、筋肉、結合組織に大きな負荷がかかります。とくに骨端線(成長板)は、この時期に傷つきやすくなります。
ディエゴ・モヤーノによるサーブスピードとケガについての知見
コーチライフで紹介されている一流のジュニアコーチ、ディエゴ・モヤーノは、急激な成長に伴うリスク、とくにサーブスピードが急に上がる男子選手のリスクを指摘しています。これは次の二つの理由から肩のケガにつながることがあります。
1. 骨端線はまだ発達途中であり、ストレスを受けやすい状態にあります。
2. 新たに身についたパワーが、筋肉や関節の対応力を上回ってしまいます。
ディエゴは、この時期には強度を少しずつ上げ、練習量を注意深く管理することの重要性を強調しています。
ディエゴ・モヤーノのサーブスピードとケガに関する動画はこちら
長期的な成長:回復力を築く
成長期は挫折のように感じられるかもしれませんが、長期的な回復力を築く機会でもあります。効果的に取り組むための方法は次のとおりです。
1. 基本に立ち返る:バスケットフィーディングや構造化された練習メニューを使い、正しいテクニックを固めましょう。
2. 休養とリカバリーを取り入れる:とくにリスクの高い成長期には、体に過度な負荷をかけないようにしましょう。
3. 専門家の知見を活用する:コーチライフにいる世界トップクラスのコーチたちの経験を取り入れ、指導の方向性を定めましょう。
コーチライフ:選手育成のためのリソース
コーチライフでは、保護者と選手があらゆる成長段階、そして成長期の課題を乗り越えられるよう、専門家の動画ライブラリーを編成しています。テクニックの再構築からケガの予防、メンタルの強さまで、私たちのコンテンツは選手とそのご家族を後押しするために作られています。
スライ・ブラック、ディエゴ・モヤーノ、ゲイリー・スティックラーといったコーチの助言に加え、アンソニー・ロスによる心理面のサポートもあります。成長の最も困難な時期であっても、お子さんが力を発揮できるよう、必要なツールがすべてそろいます。
コーチライフでさらに学び、世界トップクラスのジュニアコーチたちの知識に触れてください。
ピーター・クラーク
コーチライフ創設者、元プロ選手
コーチライフ・アカデミー ヘッドコーチ


